久しぶりに帰省をすると、実家のアチコチにガタが来ていた。 娘の私、「冷蔵庫がウルサイけど、買い替えないの?」 母親、「まだ使えるから、買い替えはまだ先で良いわ」 老いた母親では片付けは大変だろうと思い、物置を開けてみると、壊れた電化製品が沢山あった。 私、「物置の電化製品はどうするの?」 母親、「今度、まとめて処分をするわ」 とは言うものの、物置にある電化製品は、長期間置いてあるため錆びている。 もしかして、母親はモノを捨てられない人? 出掛ける際、玄関のカギを掛けることに、母親が手間取っていた。 私、「私がやろうか?」 母親、「貴方じゃ無理よ。このカギを開けるには、ちょっとしたコツが必要なの」 コツが必要な玄関は、母親がカギを無理やり差し込むため、鍵穴が傷付いている。 私、「鍵穴に油を差しておくから」 母親、「お願いね」 油を指しても、私ではカギを開けられなかった。 私、「カギを新しいのに交換をしてもらう?」 母親、「良いわよ。まだ使えるから」 久しぶりに私が帰省をしたのは、母親の妹から親の介護をするように言われたから。 もし、母親に何かあった場合、玄関が開けられないでは助けられない。 実家の玄関は、セキュリティを高めるためにカギが2つ付いているのだが、母親はそのカギを1つしか掛けない。 私、「カギを1つしかしないでは不用心よ」 母親、「開けるにはコツが必要だから、ドロボーは入れないわ(笑)」 玄関のカギを替えることや物置にある壊れた電化製品を処分することを、母親が拒むのは認知が進んでいるだけでなく、父親の思い出を失いたくないから。 父親は、もう帰って来ない。 電化製品も処分をしてしまったら、戻って来ない。 玄関の鍵穴の傷は両親が長年使った証、それを母親は失いたくないのだ。 カギを開けられないでは、今後の介護に支障を来たすため、カギ屋さんに来てもらうと、交換ではなく修理をして頂けた。 修理をしてもらうと、老いて力がない母親でも、容易に鍵を掛けられるようになった。 介護に来ている私が、鍵を2つ掛けると、その音を聞いて 母親、「なんだアンタか。お父さんかと思ったじゃない」 このことを子供に話すと 子供、「ママと同じじゃない」 私、「どういうこと?」 子供、「パパは鍵を2つ掛けるけど、ママは1つしか掛けないじゃない」 鍵を掛ける音が2回すると 子供、「パパだよ」 玄関ドアを開けたのは、旦那だった。