学校から帰ると、鍵屋さんの車が停まっていた。 友達、「鍵を替えるの?」 私、「何も聞いてない」 玄関ドアの鍵を替えている鍵屋さんに挨拶をし、それから家に入り 私、「鍵を替えるの?」 母親、「・・・」 私、「お母さん、聞いてる?」 母親、「聞いてるわよ」 私、「どうして鍵を替えるの?」 母親、「仕方ないじゃない、替えるってお父さんが言うんだから」 私、「お兄ちゃんはどうするの?」 母親、「・・・」 私、「お母さんてば!」 鍵のことでモメていると、玄関にいる鍵屋さんは困惑していた。 鍵屋さん、「鍵を替えても宜しいですか?」 母親、「お願いします」 私、「お母さん!」 私が玄関ドアの鍵を替えることに反対なのは、家出をしている兄が帰って来られなくなるから。 私の抵抗も虚しく、鍵を替えると、鍵屋さんは帰ってしまった。 母親、「これ新しいカギだから」 私、「要らない!」 母親、「ここに置いておくから」 私、「要らないってば!」 母親が置いていった新しいカギには、古いカギに付いていたキーホルダーが付いていた。 そのキーホルダーは、修学旅行に行った際、兄が家族分買って来てくれたもの。 夜10時過ぎ、チャイムが鳴ったのは、仕事から父親が帰って来たから。 母親はシャワーを浴びているため、渋々、私が玄関ドアの鍵を開けた。 父親、「カギは新しくなったな」 私、「(シカト」」 父親、「どうかしたの?」 私、「(シカト�A)」 翌朝 父親、「おはよう」 私、「(シカト�B)」 兄が家出をしてからは、家族で一番早く家を出るのは部活の朝練がある私。 新しくなった家のカギを開けると、庭で飼っている犬がメッチャ吠えた。 私、「シッ!」 犬は兄が拾って来たため、私の言うことは聞いてくれない。 言うことを聞かせる時はドッグフードをあげるのだが、それでも犬はメッチャ吠えている。 犬が吠えるのは私にではない、犬が吠えているのは犬小屋に対して。 気になって犬小屋の中を見てみると、キーホルダーの付いた新しいカギがフック金具に掛かっていた。 母親、「遅れるわよ、早く行きなさい」 私、「行って来まーす」 それから約半年後、夜中に犬がメッチャ吠えたのは、家出の兄が帰って来たから。